私たちは“ナラティブ・アプローチ”の考え方を、実践に取り入れています。
ナラティブ・アプローチとは
「“語り”を通じて、自己理解や生き方の意味づけ、また自身の“物語”の再構築・再構成を目指す方法」
と定義しています。
当事者自身が自分の物語を語ることで、
・主体的な自己理解
・自分の人生の意味づけ
・人生(物語)の捉え直し
を目指します。
具体例①
「不登校」の高校生は、学校に行けない自分に対して「何もできない」「価値がない」「得意なことがない」といった評価を語りました。これまでを振り返っても、「人付き合いが苦手」で「大した特技もなく」「みんなに蔑まれてきた」と語ります。
「不登校」という状態が、ネガティブな自分についての語りを生み、これまでの人生(物語)についても否定的な意味づけをさせていました。
しかし、語りを通して、学校に行っていなくてもやれていることは実際にたくさんあることに気づき、やれそうなこともたくさん見出すことができました。そして学校に行っていないことが必ずしも問題ではないこと、社会や文化の価値観の中で「問題」と扱われているだけで、個人の中に可能性がたくさんあることに気づくことができました。
具体例②
「適応障害で休職」することになった女性は、「職場の人間関係に恐怖や怒り」を感じ、同時に「受け流せない自分無力さ」「劣等感」そしてこの先に対する「不安」を抱えていました。
彼女は仕事や社会的責任について「こうあるべき」という信念を持っており、それを持つにいたった物語を語りました。そこには彼女だけのエピソードがあり、体験があり、意味づけがありました。
しかし、その物語の中にも「こうあるべき」とは例外なエピソードがあり、必ずしもその信念に縛られない部分もあることに気づきました。また、ときにはその信念が重要な役割を担う時の強みになることがあった過去を見つけました。
彼女は決して劣った存在ではなく、劣っているかのように扱われる理由はどこにもないことに、気づくことができました。
どのように?
「当事者の物語を聴くこと」そして「まだ語られていない物語を訊くこと」を大事にしています。
「本人の1番の専門家は本人自身である」という考え方のもと、私たちは本人の語りに耳を傾けていきます。
それはインタビュアーのような姿勢であり、共に物語を紡いでいく共著者のような姿勢でもあります。
問題を個人の中にある解決すべきものと捉えるのではなく、問題は問題そのものとして存在し、自分にどんな影響を与えているのかを考えます。そしてその問題たらしめている物語には、どんな背景があるのかを考えていきます。
私たちは何か特別な技法より、個人の可能性に満ちた物語を見つける楽しさや、問題を結論づけず語りを探求していく好奇心といった、関わる“姿勢”こそが大切だと考えます。
ナラティブ × カウンセリング
私たちはカウンセリングをもっと身近にすることを一つの目標に掲げています。
カウンセリングは精神的に病んでいる人や大きな悩みを抱えている人、特別な人が受けるものというイメージがあります。
しかし、本当はどんな人とってもカウンセリングを受ける機会があるべきだと考えています。
何かを「治す」「解決する」という医療モデルの考えではなく、
抱えている課題や悩みとどう付き合っていくのか、どんな選択をするのかという、
新たな道を見つけるということに意義があります。
また、日頃のストレスを言葉にすることで、精神的な負担を軽減するという効果もありますし、
自分でも気づかなかったストレスに、話してみて気づくということもあります。
また、自分史を語ることで、性格検査よりも深い自己理解ができます。
実際に海外ではカウンセリングは日本よりも身近なものになっており、
トラウマや精神症状の改善の目的はもちろんのこと、
日々のメンテナンスとして、
自己理解、自己成長の手段として、
活用されています。
私たちは、カウンセリングが特別な人のためのものというイメージを変え、
もっと身近に自分の物語(ナラティブ)を語れる場にしたいと考えています。
まずは、カウンセリング=「治療」「解決」という捉え方から
カウンセリング=「自分の物語を語る場」というニュアンスで捉えたいと思います。
ナラティブ × カウンセリング
カウンセリング × ネットワーク
カウンセリングが身近になるということは、カウンセラー(臨床心理士や公認心理師等)が身近になるということです。
近年、カウンセリングの必要性や需要の高まりはあるものの、
カウンセラーの社会的な地位や処遇は追いついていないという現状があります。
非常勤雇用が多く、収入が不安定で、キャリアパスも十分に整っていません。
支援者としての能力が蓄積されても、立場や収入が上がらない構造になっています。
また、2017年に公認心理師(国家資格)が誕生しましたが、名称独占ではなく、
資格の有無に関わらず“カウンセラー”を名乗ることができるのが現状です。
さらに、個人で心理相談室を作って独立したくても、
カウンセラーの能力より、営業力やマーケティング力が選ばれる理由となっています。
そして、カウンセリングの技術を深く追求していく人ほど、発信することが苦手であったりします。
要するに専門性高くカウンセリングを実践している人でも、それに見合う待遇にあるわけではないということです。
その状態は、カウンセリングを必要としている全ての人にとっても、機会損失になるということです。
私たちは、カウンセリングを身近にすることと同時に、
カウンセラーや支援者の声をもっと拾い、適正な地位の獲得も目指します。
そのことが、結果としてカウンセリング(カウンセラー)をより身近にするものと考えます。
そのため、カウンセラーさらには対人援助職(当事者の語りを聴く人)の繋がりを大切にしていきます。
支援者同士のつながり(ネットワーク)を作り、
制度を越えた支援のあり方や、学びの機会を創出すること、
現場でしかわからない、社会的な課題に対する声を広げること、
支援者の社会的地位を向上すること、
そういったことを目指します。
カウンセリング × ネットワーク
仲間募集中
私たちの考えや活動に賛同してくださる方を募集しております。
NPOの会員になってくださる方(正会員は年会費3000円または賛助会員は年会費1000円)
ナラティブ・アプローチの勉強会やセミナーを受講してみたい方
自身の対人援助経験を活かしたセミナーを催してみたい方
漠然と興味がある方
お問い合わせページよりご連絡ください。
